近年、精神の不調で精神安定剤を服用している人が増えています。
精神安定剤は、ストレス環境下で円滑に活動するための強いサポーターになります。
しかし、精神安定剤を長期間服用すると、薬に対する耐性ができ、薬の効き目が徐々に弱くなってしまいます。
その結果、服用量が徐々に増え、精神安定剤の依存症となってしまうことも珍しくありません。
かくいう私は、精神安定剤を約11年間服用し続けた結果、1日の服用上限まで到達してし、完全な依存症に陥りました。
精神安定剤に頼らない生活をしたい
精神安定剤を服用している人ならば、誰しもが思うことでしょう。
精神安定剤に頼らない生活を実現するためには、減薬・断薬が必要です。
しかし薬を減らすと、離脱症状と呼ばれる『薬が切れることによる不快感症状』を感じます。
その離脱症状は人によって大小異なりますが、少なくとも、この離脱症状を克服した先に、精神安定剤なしの生活が待っています。
本記事でわかること
- 精神安定剤の減薬・断薬による具体的な離脱症状
- 離脱症状を知ることで、これは薬を減らしているからと割り切れる
精神安定剤の減薬・断薬を目指すには、離脱症状が起こることが当たり前と割り切ることが重要です。
その上で、その状況に合わせて体と精神への負担を減らすような生活をすることが重要です。
本記事では、私が精神安定剤を減薬から断薬するまでに体験した離脱症状の実体験を紹介します。
これを参考に、これから起こりうる離脱症状への心構えを持てるようになってください。
どのような症状が起こるのかを事前に知ることで、自分の体の調子と真正面から向き合うことができるでしょう。
ちなみに、離脱症状以外の盲点的症状もあったので、これも是非参考にしてください。
私の精神安定剤の服用歴と減薬・断薬歴
精神安定剤の種類・服用歴
- 精神安定剤:ソラナックス(アブプラゾラム)
- 服用歴:11年
- 服用量:1日6錠(1錠0.4mg)
※1日の服用上限量
減薬・断薬履歴
- 減薬期間:約6ヵ月
※1日の服用量:6錠 ⇒ 3錠 ⇒ 2~1錠 ⇒ 0.5錠
※漸減法 - 断薬期間:約2ヵ月
私が服用しているソラナックス(アブプラゾラム)は、依存性の強い精神安定剤と言われています。
それを約11年間服用し続け、1日の上限服用量まで到達していることからも、私は十分に依存症になっていると言えます。
実際に私がかかりつけのお医者さんに断薬の相談をしたときも、十分に薬物耐性ができていると言われました。
つまり、少し精神安定剤を飲んだところで、効果が出ない状態になっているということです。
これから紹介する離脱症状は、このレベルの人が体験したものだと思ってください。
精神安定剤の減薬・断薬による離脱症状
- 離脱症状は『自律神経失調症』の症状と一致する
具体的な離脱症状はこの後に紹介しますが、私が体験した離脱症状は『自律神経失調症』で挙げられる症状と完全に一致しました。
自律神経失調症も、ストレスや生活習慣の乱れが原因と言われることからも、この症状が出るのは当たり前でしょう。
精神安定剤を飲まなくなると、体が緊張状態になりやすいので、なおさらです。
では、具体的にどのような症状を経験したのか説明していきましょう。
減薬・断薬による離脱症状
- 動悸
- 全身の筋肉のこわばり
- 顔の筋肉の硬直(マヒ感)
- 筋肉のけいれん
- 視界の焦点が合わない
- 強烈な吐き気と食欲不振
一番早く現れた離脱症状は動悸でした。
心臓がバクバクと音を立てて早く動くような感じがして、息苦しくなりました。
この動悸は決して心地よいものではなかったものの、ある程度時間をかけて深呼吸すると抑えられ、大きく困ることはありませんでした。
一方、全身の筋肉のこわばりは少し困りました。
精神安定剤には筋肉の硬直を和らげる筋弛緩作用があります。
そのため、減薬・断薬により薬の効果が切れてくると、全身の筋肉が緊張状態になり、ガッチガチに固まり始めます。
こうなると、ちょっとした動作で体がプルプル震えだします。
私の場合は、
- 何かを持つとき手が震える
- 足を曲げたときに膝が震える
といった感じで、日常生活で困ることがありました。
注意が必要な作業・細かい動作ほど強く震えます。
なお、この症状は顔面にも現れ、顔の筋肉がマヒして、上手く表情が作れなくなりました。
私の場合は、利き手である右側の顔面でその傾向が強かったです。
医者曰く『利き手側の筋肉に力が入りすぎることが多い』とのことです。
腕や足も同様で、利き手が使いにくくなることは、日常生活や仕事をするうえで非常に厄介です。
そして、筋肉がピクピクっとけいれんして、ぴくっと跳ね上がる現象も起こりました。
脚気(かっけ)の検査はご存じでしょうか?
椅子に座った状態で膝の皿付近を叩くと、条件反射で足がピクっと上がります。
それと同じように、体を安静にしながらも、足や腕が突然ピクっと動くことがたまに起こりました。
私の場合は、寝ているときに良く起こりました。
恐らく筋肉の緊張に関係した現象だと思うのですが、たまに体が意思と関係のない動きをすることを考えると、車の運転などの注意が必要な作業は減薬・断薬中は控えた方が良いと言えるでしょう。
また、視界がボヤーとして焦点が定まらない感もあるので、この点も日常生活を送るうえで注意が必要です。
さて、今まで筋肉の緊張関係を説明してきましたが、特に減薬・断薬の初期で悩まされたのは『強烈な吐き気』です。
これは早朝に起きることが多く、突然お腹が締め付けられるような感覚とともに強烈な吐き気を催します。
吐くものが無いのに吐こうとすることが毎日起こりました。
吐こうとしても、空気が口から出るだけで大変苦痛でした。
そのため食欲が一切無くなり、3週間で体重が6kgも落ちました。
これは毎朝起きるたびに苦しんだ、最も辛い離脱症状でした。
医者曰く、これもお腹の筋肉に過剰に力が入り、胃を押し上げるようにしてしまうことが原因のようです。
ここまで紹介してきた症状は、既に述べたように自律神経失調症と症状が同じです。
自律神経の1つである副交感神経は、体をリラックスさせる働きを持ちます。
そのため、如何に副交感神経を優位にするかが、日頃の離脱症状を和らげるかにつながると言って良いでしょう。
そこで私は、セルフケアの一環として次の本を参考にしました。
減薬・断薬中は体の不調で集中しにくいから難しい本を読むのは大変です。
この本は文字が大きく、イラストも多くて大変読みやすく、日常で実践しやすい自律神経の整え方を理由と合わせてわかりやすく教えてくれます。
この本で最も基本的な自律神経のセルフケアを学び、少しずつ自律神経を整えていくと、減薬・断薬が上手く進むと思いますので参考にしてみてください。
さて、次では、精神安定剤の離脱症状とは直接関係しないが、減薬・断薬することで発覚した症状を紹介します。
離脱症状でわかった症状
- ストレートネックになっていた
※腕がしびれるほどの症状 - お尻も痛い
※椎間板が狭くなっていた
これは完全に予想外でした。
実は、減薬から断薬に近づいたときに、
- 字を書こうとすると、指に力が入りすぎて震える(書痙:しょけい)
- イスに座るとお尻が痛い
といった症状が目立つようになりました。
特に、字を書くことがかなり難しくなり、社会的生活を送るうえで大丈夫なのかを心配になるほどでした。
ただし、これは精神安定剤を減らすことによる筋肉の硬直が原因していると思い、かかりつけの心療内科の先生に相談しました。
すると、それは離脱症状ではなく、首の骨が問題の可能性が高いため、整形外科に言った方が良いという回答でした。
そこで整形外科に行き、診察・レントゲンを撮ったところ、完全なストレートネックで、それで腕などの神経が異常を起こしていることが判明しました。
そして、椎間板ヘルニアとまではいかないまでも、椎間板が狭くなっており、腰の神経を圧迫していることが発覚しました。
私は、断薬生活に慣れれば無くなる思っていたので、かなりショックでした。
最悪、脊柱管狭窄症という病気の可能性もあり、手術しなくてはいけないのかなと想像しました。
結果的に、レントゲン検査により、そこまで重篤な状態ではないことが判明しましたが、予想外の出来事でした。
これは、精神安定剤に筋弛緩作用があることにより、今まで隠されていた症状が出たものと言えるでしょう。
つまり、
精神安定剤で隠された病気を抱えている可能性がある
ということは、非常に怖い状況です。
今は、整形外科に通院し、定期的にリハビリを行っています。
私のストレートネックの症状については、次の記事で紹介しているので、これも参考にしてください。
精神安定剤により隠されてしまった病気は素人ではわかりません。
そのため、かかりつけのお医者さんに症状を逐一相談することが最適です。
そして、それらをしらみつぶしに解決した先に、本当の健康が待っているでしょう。
気が遠くなるような話かもしれません。
しかし、気付いた症状を1つ1つ解決していくことが最善でしょう。
単なる離脱症状の問題だけと決めつけるのではなく、おかしいと思う症状をお医者さんに正直に語りながら、それぞれの症状に適した対策を地道に取ることが、本当の健康への近道と言えます。
まとめ
- 精神安定剤の減薬・断薬中は自律神経失調症と似た離脱症状が出る
- 利き手側の筋肉を中心に、こわばりが目立つ
- 利き腕の肩こり、腕のこわばりは長く残り、細かい作業がしにくくなる
- 減薬・断薬初期は吐き気で食欲が無くなることがある
- めまい・ふらつきが出ることがある
- 認知力の低下を実感することがある
- ストレートネックなどの他の症状が発覚することもある
私は、約6ヵ月という期間で徐々に服用量を減らす『漸減』という方法で断薬を続けられる状態になりました。
しかし、その過程で多くの不快感のある症状に悩ませられ、単純な道のりではありませんでした。
精神安定剤から解放される道は簡単ではありません。
しかし、薬に頼り続ける生活は、本当の健康ではありません。
少なくとも、このような症状を覚えた私でも、薬を飲まなくて済みました。
ただし、ストレートネックの顕在化という問題を新しく抱えてしまいましたが・・・
しかし、これも健康を目指す上で健全な流れだと思っています。
自分が抱えている症状に自覚しないよりは、よっぽどましです。
過去の私と同じように薬を常用している方。
少し辛い状況は当たり前と思い、薬の減薬を目指してみましょう。
本当の幸せは、その先にあると思うので、一緒に目指してみましょう。