生活の羅針盤

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【体験談】退職後も傷病手当金生活(いつ入金?毎月申請?通院頻度は?別の病気で病院が変わったときは?)

【体験談】退職後も傷病手当金生活(いつ入金?毎月申請?通院頻度は?別の病気で病院が変わったときは?)

突然の病気やケガで働けないときの生活保障制度『傷病手当金』

 

私は突発性難聴の重症にかかり、右耳の聴力を完全に失いました。

平衡感覚も乏しくなり、一時は歩行すらままならない状態に。

さらに、もともと抑うつで精神安定剤を飲んでいたこともあり、心身ともに衰弱し、完治せぬまま会社を退職することになりました。

今現在、まだ不自由な体と心の療養を続けています。

 

この退職前後の療養期間中は完全に無収入の状態でしたが、幸いにも傷病手当金の支給資格を満たしていました。

そのため、突発性難聴を発症してからの1年と半年の間は傷病手当金で生活費を補うことができました。

私と同じように、退職をまたぐ長期間の療養中に傷病手当金のお世話になる人も多いと思います。

しかし、

  • 退職後も傷病手当金は支給されるのか?
  • 別の病気が発症して働けない場合はどうしたら良いのか?

など、色々と心配になることが多いと思います。

 

そこで本記事では、退職をまたぐ1年と半年の間、傷病手当金を給付し続けた私が、次の内容を実体験として紹介します

  • 退職前後の傷病手当金
    ※休職状況
    ※初申請時期
    ※退職した場合の申請方法
    ※退職時の注意点
  • 傷病手当金に関するアレコレ
    ※申請頻度
    ※通院頻度
    ※支給に関する詳細など
  • 突発性難聴から『抑うつ』に病名を切り替えて傷病手当金を申請した流れ

 

長期間の療養で退職を考えている人。

療養中に退職した人。

これらの方の傷病手当金関係の参考情報になればと思います。

 

 

退職前後の傷病手当金の申請状況

最初に、私が会社を退職する前後での傷病手当金の申請・支給状況をお話します。

私は特に何も考えずに傷病手当金を申請し続けていましたが、退職した後に傷病手当金の細かい仕組みを知りました。

そこでわかったことは、退職の仕方を少しでも間違えると退職後に傷病手当金がもらえなくなるリスクがあるということです。

退職を考えている人にとって非常に重要なことなので、この点も触れながら紹介したいと思います。

退職までの状況と
傷病手当金の初申請時期

私が突発性難聴を患い退職までに休職した期間は約1ヵ月間です。

1月末に突発性難聴を発症し、翌月の2月末で退職しました。

なお、私は経営者の立場であったため、休職期間中は有給などで給与は一切もらっておらず、完全に無給の状態でした。

つまり『発症⇒休職(1ヵ月間無給)⇒退職』という流れです。

 

傷病手当金は、業務外の理由が原因の病気やケガで働けないときの生活を保証する制度です(業務内が原因ならば労災になります)。

そのため、傷病手当金をもらうためには次の条件を満たしている必要があります。

 

傷病手当金の支給要件

  • 病気やケガの原因が業務外の理由で労務不能
  • 初診日以降で連続3日間の休業
    ※土日祝日などの所定休業日も含める
    ※有給休暇も含める
  • 連続3日の休業後に最低1日は休んでいる
  • 給与の支払いがない
    or
    標準月額報酬の2/3以下の給与

 

要は、医師が働けない状態と認めた労務不能状態が最低3日続き、その後に少なくとも1日は休んでいて給与がもらえていない(または少ない)ことが条件です。

私の場合は完全にこれに一致していたため、退職前に傷病手当金を受け取れる資格を満たしていました。

ただし、傷病手当金を初めて申請したのは退職後です。

後でも説明しますが、傷病手当金は、医師が労務不能と判断した意見書をもとに、過去にさかのぼって給与がどうだったか?を確認して支給されます。

つまり、既に時が過ぎた期間に対して支給されるものなので、支給資格さえ満足していれば、申請する時間の融通はかなり効きます

休んだからといってすぐに申請する必要はまったくありませんし、退職したからといって何か新しい申請が必要なわけでもありません。

この点は落ち着いて対応すれば何も問題ないでしょう。

 

ただし、退職する場合は、退職日の扱いだけは注意が必要です。

傷病手当金は、労務不能の状態が継続していれば退職後も発症から最長1年と半年までは継続して受け取れます。

ただし、健康保険の資格を喪失する前日、つまり退職日に傷病手当金を受け取っている、もしくは受け取れる状態であることが必須です。

ということは、仮に退職日に休業扱いではなく出社扱いになってしまうと、退職日は働ける状態にあったということで退職後に継続して傷病手当金をもらえなくなるということです。

私はこの注意点を退職した後に知りました。

退職日ピンポイントで傷病手当金を受け取れる状態でないとNGなのは盲点でした。

もし誤って普通に『出社』としていたら、もらえる傷病手当金は休職中の1ヵ月間のみで、残りの1年と5ヵ月分の権利を失っていたところです。

退職日は整理や会社での手続きなどで出社する可能性が高いため要注意です。

傷病手当金を受け取りながら退職される方は、必ず退職日は欠勤扱い(有給休暇でも可)にしましょう。

 

ポイント

  • 退職前に傷病手当金の支給要件を満たしていれば、初申請は退職後でも問題ない
  • 退職日は欠勤にすること

申請の頻度は?

先ほどの退職日の注意点を踏まえると色々と厳しそうな傷病手当金ですが、傷病手当金を受け取れる資格さえ満足していれば、ゆっくり申請しても問題ありません。

この手の申請はすぐに行わないといけない印象を抱きますが、数ヵ月経ってからの事後申請でも問題ありません

 

私の場合、突発性難聴の初通院の次の通院が1ヵ月後(退職後)でした。

つまり、初めて医師の診断書(意見書)をかいてもらえる状況が退職後でした。

傷病手当金自体に不慣れなため、心配の思いから、発症後の次の診察である1ヵ月後に診断書を書いてもらい、健康保険に即日郵送で申請書を送付しました。

しかし、医師の診断書がちゃんとあれば『数ヵ月単位でまとめて申請可能』ということがわかったので、その後は2ヵ月単位で申請していました。

これは後で紹介する『別の病気(抑うつ)の診察ペースが2ヵ月単位だったこと』が理由です(申請時の病名を変更して申請し続けました)。

このあたりの申請頻度は通院のペースに合わせて行えば良いと思いますが、毎週・毎月のような細かい期間で申請するのは正直面倒ですよね?

医師が『いつからいつまで労務不能』と診断書に書いてもらえれば、それこそ6ヵ月単位などの長期間での申請も可能なので、申請を焦る心配はありません。

医師と相談しながら、まとまった期間で申請すると良いでしょう。

ただし、最初だけはちゃんと傷病手当金が支給されるか心配だと思うので、最初だけは1ヵ月単位で早めに申請した方が安心できると思います。

私は、

  • 退職後の初申請時
  • 病名を抑うつに変えてからの初申請時

の2つのタイミングだけは1ヵ月単位で申請しましたが、それ以外は2ヵ月の間隔で申請しました。

退職することで申請方法は変わる?

何も変わりません。

強いて言うならば、在職中は『傷病手当金の指定の用紙に就業状況を会社に記入してもらうことが必要』ですが、退職後にその紙が不要になることくらいでしょう。

特別、新しい申請が必要なわけではありません。

退職して働いていないのだから、就業状況の紙が不要になることだけが変化点です。

どのくらいの頻度で通院が必要?

病気やケガを理由にお金をもらう都合、こまめに通院していなければ傷病手当金がもらえないのでは?

こまめに通院していないと、嘘をついていると思われるかも?

このように心配になる方がいらっしゃると思います。

実際に私がそうでした。

何の根拠もなく1ヵ月に最低1回は通院しなければいけないのか?と気にしていました。

 

結論は『医師が労務不能を証明すれば通院頻度はまったく関係ない』ということです。

私は1ヵ月に1回は通院しないといけないのかな?と思い、最初は1ヵ月に1回心療内科に通院し、そのたびに傷病手当金を申請していました。

しかし、私の場合は明確な通院頻度が医師から指示されておらず、毎回処方される精神安定剤が2ヵ月単位というのが実際でした。

つまり、毎月通院する必要はなく、2ヵ月に1回だけの通院で済む状況だったということです。

そこで、毎回お金と時間を掛けて通院するのが面倒だと思い、2ヵ月に1回だけの通院に変更しました。

要は、まったく診察のない1ヵ月間があったということです。

では傷病手当金はどうなったのか?

まったく診察のない1ヵ月間も含めて、ちゃんと傷病手当金が支給されました。

 

改めて思うと、私のように通院頻度が明確に指示されていないこと自体が問題だったように思えてきます。

ただし、ここから明らかなように、傷病手当金のためのこまめな通院は一切不要ということです。

正確には、傷病手当金の支給において通院頻度の規定はないということです。

医師の指示や薬の状況などに従って通院していれば何の問題もありません。

いつもらえた?
申請から入金までの時間

私は必要書類を郵送で送付していましたが、送付日から2週間後には入金されました。

健康保険によって多少日時は前後すると思いますが、初回の申請もそれ以降でも、ほぼ決まって送付日から2週間後に傷病手当金の支給の通知が届き、その日に入金という流れでした。

感覚的には、初回申請は時間が掛かり、それ以降の審査は時間が短くなる印象を持ちますが、どうもそうではないようです。

私の経験上、書類送付から2週間ほどで申請した期間の傷病手当金が支給されると思っておきましょう。

別の病気で病院が変わったときは?

私は突発性難聴で傷病手当金の給付を受けましたが、突発性難聴の療養期間は発症から3ヵ月だけでした。

というのは、突発性難聴は3ヵ月ほど経つと聴力の回復が見込めないためです。

そのため、最初の3ヵ月間で突発性難聴の通院が終わり、片耳だけは正常なので、もうこれ以降は傷病手当金がもらえないと思っていました。

正直自分勝手な話ですが、この突発性難聴による退職をきっかけに、もともと患っていた抑うつを長期的に直したいと思っており、その期間も傷病手当金がもらえないかなぁと思っていました。

薬の服用期間・服用量もかなり多かったのでなおさらです。

 

そこで、普段通院している心療内科に相談したところ、傷病手当金の給付を受けた病気(突発性難聴)が原因ならば、抑うつでも傷病手当金の継続給付が可能と教えてくれました。

  • 最初の3ヵ月の病名
    ※突発性難聴
  • それ以降の病名
    ※突発性難聴
    ※抑うつ

傷病手当金を申請した病気・ケガが理由で他の病状が発症、もしくは悪化し労務不能となれば別の病名でも支給対象になる』ということです。

既に退職している立場だったので、抑うつという新規の病名だけでは申請できません。

あくまでも『退職前に労務不能となった病気やケガが原因である』というきっかけが重要です。

もし、傷病手当金を申請した病気がきっかけで別の病名の病気にかかり、それが原因で再就職できない場合は医師に相談してみると良いでしょう。

傷病手当金の支給期間は、最初の労務不能判断から1年と半年です。

最初の労務不能の原因となった病気・ケガが理由で何か別の病気を発症した場合は、遠慮なくそれが原因で療養が続いていると主張しても良いでしょう(ただし医師の見解が絶対です)。

 

なお、このようなケースでは病院、または医師が変わることが多いと思います。

私もそうでした。

後続の病気で医師の診断書(意見書)を書いてもらう場合には、それまでに提出していた診断書(意見書)を後続の医師が参考にすることがほとんどだと思います。

そのため、最初に書いてもらった診断書のコピーを1部取っておくと安心です。

 

 

まとめ

  • 退職前に傷病手当金の支給要件を満たせば退職後も継続給付できる
  • 初申請が退職後でも問題ない
  • 【重要】退職日は欠勤扱いにする
  • 申請・通院頻度に決まりはない
  • 申請から2週間程度で入金される
  • 申請した病気が原因ならば別の病名でも傷病手当金が支給される
    ※それまでに提出していた申請書のコピーは控えておく

 

いかがでしたでしょうか?

病気やケガで困っている人にとって、傷病手当金は非常に助かる生活保障制度ですが、色々な取り決めがあり心配になることも多いと思います。

本記事では、退職日をまたいで傷病手当金の給付を受け続けた私の体験談を紹介しました。

別の病名での継続給付など、あまり広く知られていない体験談も紹介したつもりです。

本記事が傷病手当金関係で悩んでいる方の参考になることを願っています。