法事後のお食事『お斎』は、参列者の方をおもてなしする大事な場面です。
お食事と聞くと、全員で和やかに過ごす時間のように思われますが、法事の責任者である施主のやることは非常に多いです。
そのため、普段のお食事感覚で本番を迎えると上手く進行できず、参列者の方を困惑させてしまいます。
そこで、私の実体験をもとに、次の内容を具体的に解説します。
- 施主がお斎で具体的にやること(時系列順)
- お斎の場面で注意したいこと
一通りの流れを把握すれば、ドタバタしやすいお斎の場でも落ち着いて行動できるので、是非参考にしていただき、事前シミュレーションにつなげてください。
- お斎の流れと施主のやること1:お店に報告~部屋へ誘導
- お斎の流れと施主のやること2:部屋の準備~着席
- お斎の流れと施主のやること3:飲み物の手配と配膳
- お斎の流れと施主のやること4:施主挨拶~献杯の発声
- お斎の流れと施主のやること5:食事中
- お斎の流れと施主のやること6:お斎の終了準備
- お斎の流れと施主のやること7:施主挨拶~帰宅
- まとめ
お斎の流れと施主のやること1
:お店に報告~部屋へ誘導
- お店に到着したことを報告
- 予約した部屋を案内してもらう
- 参列者の方を部屋へ誘導
旅行のホテル予約と同じで、お店を予約しても、どの部屋なのかは当日までわかりません。
参列者の方を早めに部屋へ誘導しないと、参列者の方はバラバラに行動し始め、収集がつかなくなります。
そのため、お店に到着したら真っ先にお店に報告して部屋を案内してもらい、参列者の方を誘導し、全員がまとまって動けるようにしましょう。
お斎の流れと施主のやること2
:部屋の準備~着席
- 部屋の出入り口にお返しの品を置く
- 上座側にある遺影立てに遺影を立てる
- 参列者の方に着席を促す
※遺族は下座、親族は上座側へ
まず部屋に着いたら、重たいお返しの品を部屋の出入り口付近に置きましょう。
お香典のお返しの品は、お斎が終わり部屋を退出するときに参列者の方にお渡しします。
そのため、部屋の出入り口付近に置いておけば、退出に合わせて参列者の方にお渡ししやすくなります。
その後は、故人の遺影を立てましょう。
遺影を立てる場所は部屋の上座にあります。
上座は部屋の出入り口から最も遠い位置で、故人用の食事(陰膳:かげぜん)が置かれているので、それを目安にすると良いでしょう。
このような流れで最低限の部屋の準備が整ったら、参列者の方を席に誘導します。
なお、席は比較的自由に座って問題はありませんが、お斎の席順には最低限のマナーがあります。
まず、遺族は部屋の出入り口に最も近い下座の席に座ります。
その他の親族の方は上座側の席に着席していただきます。
多くの参列者は、上座側の席を遠慮してなかなか席に座らないことがあります。
このとき『どうぞ奥の方からお座りください』と施主から積極的に声掛けをしましょう。
そうすると、お互いに話しやすい関係同士で徐々に席が埋まっていきます。
注意点
- 遺影を立てるときは自分の荷物を下座の席に置いておく
部屋について遺影を立てるときに荷物を上座の席に置いてしまうと、参列者の方が上座側の席に座れません。
急いで遺影を立てようとすると、荷物を持ったまま上座に移動してしまいますので。
そのため、まず自分の荷物は真っ先に下座の席に置いておきましょう。
そうすることで、参列者の方が下座の席に座ることも防げます。
お斎の流れと施主のやること3
:飲み物の手配と配膳
- 十分な量の飲み物をお店に依頼する
※飲み物はフタを開けた分だけの精算
※すぐに不足しないように、最初は余分に頼んでおく
※ジュース・お茶・ノンアルコールビール・ビールは適当にバランスを取る - 飲み物が届いたら、参列者の方の席に配膳
※余分に席に置いておく - 陰膳のコップに飲み物を注ぐ
部屋の準備が整ったら、まずお店に飲み物を注文しましょう。
レストランと異なり、こちらからお願いしない限り、勝手に飲み物は出てきません。
そして依頼から飲み物が届くまでに少し時間が掛かります。
そのため、食事をスムーズに始められるように早めに飲み物をお店に頼みましょう。
なお基本的に、飲み物はフタを開けた分だけの精算になります。
そのため、すぐに足りなくなることがないよう、あらゆる種類の飲み物を多めに頼んでおくと後が楽になります。
その後、お店が飲み物を届けてくれたら、遺族の方と協力して、参列者の方の席に飲み物を配膳していきましょう。
お店は食事の配膳しかしてくれませんので、飲み物は遺族が配膳しなければなりません。
なお、飲み物の量は注文のときと同様に、少し多めに席に運び、すぐに無くなることがないようにしましょう。
そして忘れないうちに故人の陰膳のグラスに、故人が好きだった飲み物を注いでおきましょう。
施主の挨拶が始まるとすぐに献杯の流れになるので、早めに準備しておくと安心です。
なお、私は焦ってしまい、全員が着席したと同時に挨拶を始めてしまい、飲み物がまったくない状態で食事が始まるという失態をしてしまいました。
故人のグラスに飲み物がないという失態もしたことがあります。
施主はどうしても挨拶に意識が向かいがちになるので、食事の準備が整うまで、挨拶はしないと心がけましょう。
お斎の流れと施主のやること4
:施主挨拶~献杯の発声
- 施主が挨拶(1~2分程度で十分)
- 献杯の発声で食事を開始
食事の準備が一通り整ったら、施主の挨拶を始め食事を開始しましょう。
施主の挨拶は短くて十分で、無事法要を終えたこと・参列者の方へのお礼を述べれば大丈夫です。
なお、お斎の施主挨拶は次の記事で紹介しているので、こちらを参考にしてください。
注意点
- 献杯の発声をお願いする人には事前にお願いしておく
献杯の発声を施主がすることもありますが、故人の近親者の場合が多いです。
そのため、献杯の発声をお願いする人には、事前に献杯の発声をお願いし了承をもらっておきましょう。
誰でも、突然の挨拶指名には困惑します。
事前に了承をもらい、当日の献杯挨拶の準備をしてもらうように、しっかりお願いしておきましょう。
お斎の流れと施主のやること5
:食事中
- 参列者の方の席を回り、お酌とお礼
- 各席の飲み物の残りを確認しながら適宜補充
お食事が始まっても施主は落ち着いて席に座っていられません。
食事開始5分後程度を目安に、参列者の方の席に伺い、お酌をしながら個別にお礼を述べていきましょう。
なお、上座の席から始めると良いでしょう。
また食事が進むと、各席の飲み物が無くなっていきますので、適宜様子を見て、飲み物が足りなくなり始めたら、新しい飲み物を配膳して補充していきます。
当然、予備の飲み物が少なくなったら、早めにお店に注文をしましょう。
お斎の流れと施主のやること6
:お斎の終了準備
- お店にマイクロバスの依頼
※時間も伝える - 挨拶の前に会計を済ませておく
終了時間が近くなると、お店から『そろそろお時間です』と声が掛かります。
声が掛かったら、挨拶の前にスムーズに帰れる準備を整えておきましょう。
まず、マイクロバスをお願いしている場合は『マイクロバスを〇時〇〇分でお願いします』とお店に伝え、部屋を出たときに、すぐにバスに乗れるようにしておきましょう。
これを怠ると、部屋を出てもバス待ちになり、参列者の方をお待たせすることになってしまいます。
また、終了の挨拶後は、お返しの品を渡し、すぐにバスに移動の流れとなるため、先に会計を済ませておくと落ち着いて行動できます。
お斎の流れと施主のやること7
:施主挨拶~帰宅
- 終了を伝える施主挨拶
- 参列者の方が部屋を出るときにお返しの品を渡す
終了を告げる施主挨拶は、開始の挨拶と同じく、1~2分程度の短さで問題ありません。
文例は先ほど紹介した記事を参考にしてください。
そして、挨拶が終わると、参列者の方は各々部屋を退出します。
このとき、部屋の出入り口に立ち、参列者の方へお返しの品を渡していきましょう。
これが済めば、お斎は一通り終了で、各自帰宅となります。
まとめ
細かい内容は上の説明を再確認してください。
そのうえで特に重要な点だけまとめます。
- 施主の挨拶前に飲み物も含めた全ての準備を整える
- お斎の席順は親族が上座、遺族が下座
- 食事中は、参列者の方への挨拶回りと飲み物配膳
- 終了の挨拶前に、マイクロバスの手配・会計を済ませる
- お返しの品を渡しやすいように、お返しの品は部屋の出入り口に置く
お斎では参列者の誘導から飲み物の手配・配膳、挨拶など、施主がやることは非常に多いです。
特に注意すべきは、食事の開始前の準備と、終了後にスムーズに帰れるように手配することです。
いざ食事が始まれば、後はひたすら接待となりますので、食事前後の準備をしっかり意識して、スムーズにお斎が進むよう心がけましょう。