3月になると気温も暖かくなり、衣替えの季節を感じ始めます。
人間と同様に、ミカンの木も3月は衣替えの季節です。
ミカンの木は、庭に緑の景観を与えてくれるだけでなく、果物としてミカンの実を作ってくれるため人気のある植木の1つです。
そんなミカンの木は、冬に実を結んだあとの4月には新芽が出てきます。
そのため、新芽を迎える前の2月~3月は『ミカンの木の剪定に適した時期』です。
この剪定はミカンの木にとって非常に重要で、剪定を怠ると次のように散々な状態になります。
- 枝や葉が伸び散らかって景観が悪くなる
- 日当たり・風通りが悪くなり木の成長を妨げる、または病気になる
- 木が高く伸び切ると、剪定するにも手が届かなくなる
そこで今回、植木手入れ初心者の私が、自宅のミカンの木を思い切って強剪定し、枝をかなり切り詰めてみました。
その結果がコチラ。
そこで今回、植木の手入れ初心者である私のミカンの木の強剪定の体験をもとに、次の内容を紹介していきます。
- 切るべき・剪定すべき枝の種類
- 枝の切り方
- 剪定するときの工夫
剪定すべき枝(忌み枝)Top3
剪定すべき枝は一般的に決まっており、『忌み嫌われる』に使われる『忌み』を使って忌み枝と呼ばれます。
この忌み枝は10種類以上もあり、初心者には覚えるのも、見分けるのも難しいです。
そこで、剪定すべき忌み枝の中でも、
- ミカンの木の景観に大きく影響する
- 初心者にもわかりやすい
という観点で、まず優先的に剪定すべき忌み枝Top3をまず紹介します。
この3種類の忌み枝を剪定するだけでも見た目は大きく改善し、先ほどの私の剪定後の写真のように、さっぱりしたミカンの木を作り上げることができます。
忌み枝1位:立ち枝・徒長枝
専門的には、立ち枝と徒長枝(とちょうえだ)は異なる種類で区別されますが、初心者はそこまで気にする必要はありません。
この立ち枝と徒長枝は『やたらと真上に伸びまくる枝』と捉えて十分でしょう。
この忌み枝の特徴と厄介な点は次のとおりです。
立ち枝・徒長枝の特徴
- 枝の途中から垂直に真上に伸びる枝
- 放っておくと、短期間で樹木の最上部まで成長
立ち枝・徒長枝の厄介な点
- 枝と枝の合間を縫って成長するので、枝が混雑する
- その結果、日当たり・風通りが悪くなる
- 伸びすぎると手が届かなくなり、手入れが難しくなる
では、図と写真で立ち枝・徒長枝の具体的なイメージを捉えてみましょう。
庭の植木や、街路樹をよく見ると、垂直にまっすぐ伸びえている枝を見たことはありませんでしょうか?
それが立ち枝・徒長枝で、初心者でも簡単に見分けられる忌み枝です。
この枝は、日光に当たろうとして、どんどん上に伸びていき、上の写真のように、木の下の方から最上部まで伸び切り、長さ1.5mとかなり長くなります。
そのため、伸び切った立ち枝・徒長枝を剪定するのは、高さの点で厄介です。
また、立ち枝・徒長枝は木の上からだけでなく、下側からも上へ突き抜けるように成長するため、木の内側で多くの枝と交差します。
その結果、木の内側で多くの枝が混雑し、日当たり・風通りが悪くなってしまいます。
忌み枝2位:逆さ枝
逆さ枝の特徴と厄介な点は次のとおりです。
- 【特徴】枝の途中から真逆に伸びる枝
- 【厄介】他の枝と交差するため、枝が混雑する
逆さ枝の具体的なイメージはコチラ。
普通の枝は、幹から外側に向かってほうき状に広がるように成長します。
しかし、逆さ枝は枝の途中から幹に向かって逆行して成長します。
枝の反抗期、またはバンドの解散理由に多い方向性の違いが木の中で起こっていると言えるでしょう。
先ほどの立ち枝・徒長枝と同様に、逆さ枝も木の内部で枝が混雑する原因となり、日当たり・風通りが悪くなります。
また、逆さ枝が下手に長く伸びてしまうと、他の枝に絡まるだけでなく、他の枝の成長の向きも曲がってしまい、景観を損ねてしまいます。
忌み枝3位:車枝
車枝の特徴と厄介な点は次のとおりです。
- 【特徴】枝の1点から四方に何本も生える枝
- 【厄介】枝と葉の密度が高くなり、日当たり・風通りが悪くなる
枝の双子・三つ子・四つ子のイメージです。
車枝は枝の先端に近いほどよく見られます。
枝のある1点から扇状に複数本の枝が広がり、その車枝から葉が生えるとボンボンのような見た目になります。
葉が豊かになるため、緑色のきれいな景観となりますが、枝と葉の密度が高いため、日当たりが悪く、虫食いなどの弊害が起こりやすいです。
忌み枝による病害
忌み枝は日当たり・風通りが悪くなるため、どうしても害虫による虫食いが発生しやすくなります。
特にこの3つの忌み枝とその葉には『カイガラムシ』と呼ばれる害虫による虫食いが多発します。
カイガラムシの卵の見た目は白いツブツブで、その多くは日を避ける葉の裏側に存在します。
実際に忌み枝を剪定すると、その葉の裏にカイガラムシの卵が存在していました。
この卵はやがて孵化し、他の葉にどんどん広がっていくため、ミカンの木を害虫から守るためにも、忌み枝の剪定は重要です。
枝の切り方2種(切り返し剪定・間引き剪定)
先ほど紹介した3つの忌み枝を中心に剪定しますが、忌み枝を切る以外にも、木の長さを調整するための剪定もあります。
枝の切り方には大きくわけて『切り返し剪定』と『間引き剪定』の2種類があります。
この2つの枝の切り方と使い分けについて解説します。
切り返し剪定
剪定対象の枝
- 忌み枝以外で長さを調整したい枝
- 将来的に再び枝が伸びることを期待する枝
枝の切り方
- 枝の途中から切り落とす
- 芽の直前で不要な部分を切り落とす
木の外観を整えたり、手入れの都合で枝の長さを調整する枝の切り方が『切り返し剪定』です。
木の大きさ調整と考えればよいでしょう。
完全に枝を取り除くわけではないので、芽の直前で不要な部分を切り落とし、枝が再び成長することを期待します。
枝の切り方のイメージはこちら。
間引き剪定
剪定対象の枝
- 忌み枝
- 将来的に枝の再成長を期待しない枝
枝の切り方
- 枝の根本で切る
忌み枝は残っている限り邪魔になるので、枝の再成長は期待しません。
また、植木のスペースなどの都合で、完全に取り除きたい枝もあると思います。
このように完全に取り除きたい枝を切る剪定が『間引き剪定』です。
この間引き剪定では、枝を完全に切り落とすため、枝の根本で切り落とします。
剪定で用意する3つの道具
では枝の切り方を押さえたうえで、剪定で用意しておきたい4つの道具を整理します。
剪定する枝には直径1cm未満の細い枝もあれば、3cm以上の太い枝もあります。
細い枝にノコギリやチェーンソーを使っても切り口がダレて切りにくいです。
太い枝に細い刃を使っても当然切れません。
そのため、幅広い太さの枝を切るためにも、枝の太さに応じて3種類は用意しておきましょう。
また、高さに応じて追加で2種類あると、ハシゴや三脚を使わなくて済むので便利です。
一般的に剪定で使われる3つの道具は次のとおりです。
()は高所用の道具です。
この写真の道具は、実際に私が使用した実家にあったものです。
今ではもっと高性能な道具があると思うので、枝の太さを意識して道具を準備しましょう。
なお、木はドーム状に広がっているため、木の中心付近にある高い枝は近寄ることが難しく、枝を切りにくいです。
そこで活躍するのが高枝切りバサミや高枝チェーンソーです。
特にコードレス高枝チェーンソーは、電源の場所を選ばずに太い枝も簡単に切れるので大変便利です。
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作業しやすくする剪定の工夫
木には多くの枝があるため、初心者にはどの枝から切るべきかの判断が難しいと思います。
実際に私も作業してみて迷うことが非常に多かったです。
そこで、私が実際に作業してみて思った剪定の工夫を紹介します。
工夫1:外周部から剪定する
- 木の内側に入れるように外周部から剪定する
- 車枝・平行枝を中心に剪定する
木の内側は枝と葉でかなり混み入っています。
その状態で木の内側を剪定しようとしても、次のように困る状況に陥ります。
- 不要な枝が判別できない
- 体・剪定の道具が内側に入らない
そこで外側から徐々に内側に入り込むように、まず外側の枝から剪定すると全体像が見えやすくなります。
なお切るべき枝は『車枝』と『平行枝』の2つを中心とするとよいでしょう。
車枝は忌み枝の説明で触れました。
車枝は枝の先端に多く、葉も多いため、木の内側を見にくくする原因の1つです。
平行枝は、複数の枝が平行に並ぶように密接している枝です。
この平行枝も固まって存在すると、枝の密度が極端に高くなり、木の内側を見にくくします。
この2つの枝を外周に1周するように剪定していくと、徐々に木の内側の様子が確認できるようになります。
工夫2:一気に作業せず徐々に短くする
- 忌み枝は間引き剪定で一気に剪定
- 剪定に迷う枝は切り返し剪定で徐々に短くする
- 作業のたびに木から離れて全体像を確認し剪定枝を見つける
まず、多くの枝と交差して木の内側を混雑させる忌み枝は間引き剪定で一気に取り除きましょう。
忌み枝は残しておいても得することはなく、忌み枝を取り除くだけでかなり木がスッキリします。
一方、忌み枝以外の枝で切るべきか判断に困ることがあると思います。
その場合は、間引き剪定で枝を完全に取り除かず、切り返し剪定で少しずつ短くしていきましょう。
剪定に迷う枝を考えずに間引き剪定してしまうと、想像以上にスカスカになってしまいます。
作業は一気に、一日で終える必要はありません。
木の枝は数日で大きく変化することはありませんから。
そのため、全体のバランスを保つためにも、判断に迷う枝は少しずつ短く切り詰めていきましょう。
また、作業のたびに木から離れて全体像を確認しましょう。
剪定を始めると、どうしても集中している枝周辺だけに目が行きがちです。
そうなると、全体のバランスを無視して枝を切ってしまい全体のバランスが崩れてしまうことがあります。
また、一度離れてみると、最初は気づかなかった剪定すべき枝が見えてきます。
このように、全体のバランスを考えながら、不要な枝を正確に判断するために、木から離れて確認しながら作業することが、木のバランスを保つ重要なポイントです。
まとめ
- 剪定すべき忌み枝は、立ち枝・徒長枝、逆さ枝、車枝の3つ
- 忌み枝は間引き剪定、そのほかは切り返し剪定
- 木の外周部から徐々に剪定していく
- 剪定するか迷ったら切り返し剪定で少しずつ切り詰める
- 作業のたびに木から離れて全体像を確認する
緑に生い茂った植木は庭に自然豊かさを与えてくれます。
しかし、あまりに生い茂った植木は暑苦しさを感じ、日当たり・風当りの悪さは木にとって健康的ではありません。
木の健康と美しい庭を実現するためにも、不要な枝は積極的に剪定していきましょう。
なお、3月に強剪定したミカンの木は次のように新しい芽で溢れるようになりました。
これは5月の写真なので、剪定から約2ヵ月でここまで成長したことになります。
ただし、花がついているのは剪定せずに残した枝葉なので、ミカンの実を取りたければ、一部の枝葉はしっかり残しておきましょう。


なお、植木関連で次の記事も紹介していますので、是非参考にしてみてください。
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