塾・予備校に入ったから成績が伸びる。
単純にこう思っていたら間違いです。
どの時代でも、塾・予備校に通っても成績が伸びない子が一定数いることは現実です。
本記事では、高校数学・物理・化学の理系3科目を11年指導してきた経験から『塾・予備校で成績が伸びない子の特徴を4つ』を、その理由と合わせて紹介します。
成績が伸びなくて悩んでいる人は、これから紹介する内容に該当していないかチェックしてみましょう。
塾・予備校で成績を伸ばすために必要な2つの要素
- 継続的な勉強時間の確保
- 課題に直面したときに変化を起こす覚悟
まず最初に、塾・予備校で成績を伸ばすために必要な2つの要素を説明します。
この2つの要素のどちらかが欠けても、成績は伸びません。
さて、勉強では『量より質』もしくは『質より量』とも言われますが、どちらが正解でしょう?
結論は『成績を上げるためには、量と質のどちらも必要』です。
(量)継続的な学習をしているか?
- 単発で勉強時間を増やしても、すぐに忘れるのが人間
- 学習した知識を失うと、次の学習内容の理解でつまずく
勉強は、前に学んだ内容を活かして、次の新しい内容を理解していきます。
いわゆる『積み上げ型学習』ですが、特に理系科目や英語でその傾向が強いです。
そのため、以前に学習した内容が頭に残っていないと、新しい内容を理解できずに、つまずくでしょう。
しかし、
- 中学では、高校受験に内申点を利用する
- 高校では、指定校推薦のために定期テストの点数を大事にする
といった理由から、次のような取り組みをする塾・予備校が非常に多いです。
- 定期テスト前だけ集中的に勉強する
- 定期テストの過去問で、テストに出やすい問題だけを対策する
残念ながら、定期テスト程度であれば、この集中対策で、ある程度の成績が取れてしまうのが事実です。
だから、塾・予備校はこの方法を好んで使います。
しかし、テストが終わると勉強しなくなるのが子どもです。
そうなると、せっかく勉強した内容をすぐに忘れて、将来の学習でつまずき始めます。
そして、最終的には『わからないけど、やり方だけ覚える』という勉強をやり始めます。
こうなってしまうと、覚えては忘れ、覚えては忘れ、の繰り返しです。
その結果、待っているものは『塾・予備校で勉強したけれど、受験前に残っている知識はわずかで、応用力もない』という状況です。
こうなってしまうと、模試や受験などの幅広い範囲を問われる試験にまったく対応できず、いつまでも成績が伸びないという結果になるでしょう。
勉強した知識を自分で使いこなすためには、継続的な学習・実践が不可欠です。
別に塾・予備校がそう仕向けなくても、それを実践しなければ意味がありません。
そして、仮に成績が伸びなくても、言葉は悪いですが『塾・予備校は教えた』というスタンスを取るでしょう。
その塾・予備校の流れに従ってしまうと、授業を増やすなどの費用が増える提案を受けるだけでしょう。
これを避けるためには、次の確認が必要です。
- 継続的に勉強できる状態か?
※やる気・部活動の時間などを含めて考える - そのような仕組みが塾・予備校にあるか?
- つまずいた学習内容のフォロー体制が十分か?
(質)学習の取り組み姿勢を変えているか?
- 子どもが学習姿勢を変えているか?
- それに対して講師はアドバイスをしているか?
勉強のテクニックに関する情報は、本やネットで簡単に手に入ります。
しかし、勉強でつまずくポイントは人によって異なり、つまずくたびに、その人に合った改善方法を試すことが、成績を伸ばすうえで重要です。
一律で『どうすれば良い』という簡単な言葉で済む問題ではありません。
- 授業の受け方
- 問題演習の取り組み方
- 復習の取り組み方
実は、塾・予備校で成績が伸びない子どもは、これらの学習の姿勢面で課題を抱えていることが多く、勉強時間よりも、これらの姿勢を改善することが重要だったりします。
というのも、学習姿勢が悪い状態で勉強を続けても、時間に対する成果が低くなるからです。
そしてこの課題は、1番身近で学習姿勢を見ている塾・予備校の先生が修正すべきでしょう。
少なくとも、お金を払っているのであれば、と私は思います。
しかし、多くの塾・予備校では、単に授業数を増やすなどの、お金が掛かる方向でしか提案しません。
明らかに勉強時間が不足している子どもには、勉強時間を増やすことは必要です。
しかし、安易にこういう提案をする塾・予備校は避けた方が良いでしょう。
それよりも、子どもの学習姿勢などを見てくれている塾・予備校を選ぶべきです。
『どのように勉強していけば成績が伸びるのか?』という答えを子どもが持っているか?
これを1つの判断材料にして良いでしょう。
なお、次の記事で『正しい問題集の使い方』を紹介しています。
これは家庭でも指導できる内容なので、問題演習をしている割に成績が伸びないと思う人は、是非参考にしてみてください。
塾・予備校で成績が伸びない子の特徴
では、先ほどの内容も踏まえて、塾・予備校で成績が上がらない子の特徴を整理していきます。
やる気がない・乗り気でない
塾・予備校に対して、子どもがやる気を出せない理由は様々です。
- そもそも勉強する気がない
- 今は必要ないと思っている
- 塾・予備校の指導方針・学習環境が嫌い
そもそも、やる気がないのに塾・予備校に通うのか?と、疑問に思う人もいるかもしれませんが、今の時代では結構多いです。
- 大人に自分の意見を言いにくい
※特に断ることを苦手とする子どもは多い - 親が進学実績などを理由に強制的に決めてしまう
この2つが代表的なケースでしょう。
いずれにせよ、塾・予備校に入る前にやる気を出せない場合は、成績が伸びない可能性が高いです。
勉強には、課題に直面したときに踏ん張るための忍耐力が求められます。
子どもが望まない環境では、忍耐力で課題を乗り越える前に、妥協や諦めが先に来てしまいます。
これは、子どもに限らず大人でもそうです。
そして何より、勉強に対する継続性が失われ、定期テスト前だけ頑張るようになるでしょう。
これでは、勉強の継続性が失われ、安定して成績を伸ばすことが難しくなります。
また、塾・予備校関係者、親の目を気にして、とりあえず『勉強しているフリ』をすることもあるでしょう。
- 授業には出席しているが聞いていない
- 宿題は答えを写して、やったフリをする
が典型的な例でしょう。
これでは、塾・予備校にかけているお金と時間が完全に無駄ですし、子どもも親も精神的に不健全でしょう。
- 塾・予備校の話を拒絶しないか?
- 塾・予備校に行く前の子どもの雰囲気
- 塾・予備校から帰ってきたときの子どもの雰囲気
- 塾・予備校での勉強に関する話が子どもから出るか?
これらが『子どもがやる気を持って自主的に勉強しているか』の1つの判断材料になるでしょう。
子どもが前向きに勉強に向かっているか?を、ささいなことから察知するように心掛けましょう。
嘘をついて『できた・やった』フリをする
授業・宿題・テストなどで、できないことやわからないことが生まれるのは当たり前です。
むしろ、その課題をできるように変えることが、勉強の本来の目的です。
しかし『できない=悪いこと・面倒なこと』と思う子どもが比較的多いです。
怒られることに恐怖心を抱いている場合もあります。
追加の課題や補習などが面倒で、嘘をついている場合もあります。
いずれにせよ、この場合は、塾・予備校の関係者だけでなく、親も普段の学習がうまく進んでいるものと勘違いし、成績を伸ばすきっかけを失ってしまいます。
そして、それが長期化することで、子どもの弱点が積もり積もって、後ではどうにも対処できなくなるでしょう。
さらには、嘘をついて自分の問題を隠す悪癖が習慣化することもあるでしょう。
- 子どもが自発的に都合の悪いことを言えていますか?
- それを聞いたときに、それを認めて受け入れる体制がありますか?
これは、塾・予備校に限らず、家庭でも気付けることではないでしょうか?
身近な家庭の場に、この問題を解決するヒントがあるので、塾・予備校に通う前に確認してみましょう。
なお、これは塾・予備校側に間違いを受け入れる姿勢があるのか?も要確認です。
ただ単に、授業数・勉強時間で解決しようとする塾・予備校には注意してください。
人の話を聞かない(頑固)
習慣は数日単位ではなく、長期的な生活の中で身に付きます。
これは、悪い習慣でも良い習慣でもです。
そのため、誰もが普段の習慣を変えるのは難しいことであり、今までやってきた方法に無用にこだわり続ける子どもは一定数います。
大人でも同じですね。
話を聞いても、聞くだけ聞いて、それをまったく試そうとしません。
そのため、同じミスをずっと繰り返し、成績を伸ばすきっかけを失ってしまいます。
普段のやり方・習慣は、自分に馴染みがあり、一番安心する方法です。
しかし、現状がうまくいっていない状況を打破するためには変化が必要です。
『うまくいかなくても試してみるか』という柔軟さで、新しい方法を試せるか?は、成績を伸ばすための重要な鍵と言えるでしょう。
仮にうまくいかなかったのであれば、別の方法を考えれば良いだけの話です。
それで全てが終わるわけではありません。
- 変化することへの柔軟さがあるか?
- それをサポートする体制があるか?
この基準で判断してみてください。
部活動が忙しくて時間がない
強豪の運動部や文化部(吹奏楽部など)が代表的です。
強豪校になると、中学でも部活動後に自主練習という名の部活が夜遅くに及ぶことは珍しくありません。
高校になると、朝練に加えて、夜8時過ぎまで部活動が続くことも当たり前でしょう。
1日24時間は、全人類で平等です。
限られた時間の中で、その時間をどう使うのか?
部活なのか?勉強なのか?遊びなのか?
部活動が忙しければ、当然、勉強できる時間は他の子どもよりも少なくなります。
これは当たり前のことです。
しかし、何故か、忙しい部活動に所属している子どもほど、部活も勉強もトップを目指す傾向にあります。
気持ちはわかりますが、多くの子どもには無理です。
それは、塾・予備校の授業では、仮に本人がわかっていることでも授業で説明することがあるからです。
限られた時間の中での学習において、無駄が生じやすいということですね。
忙しい部活動に所属する子どもの場合は、無理に塾・予備校に通うことを考える前に、普段の学校での授業を如何に最大限活かすか?を考えるべきでしょう。
定期テスト前などの期間限定で塾・予備校を頼るのは良いでしょう。
しかし、通年で塾・予備校に通い続けることには、よほどの理由がない限り、あまり意味がないと思います。
そもそもの勉強の継続性を実現することが難しいからです。
まともに勉強時間を確保できるのは、試験前くらいでしょう。
忙しい部活に所属する場合には、
- 睡眠時間はしっかり確保
※健康面を害しては元も子もない - 学校の授業を最大限に利用する
※質問などは積極的に
※学校の教師を積極的に利用する - 上記のリズムを安定させる
を目指しましょう。
無理に、塾・予備校などに使う時間を増やすべきではありません。
もともと使える時間が少ないのですから。
まとめ
いかがでしょうか?
塾・予備校は、子どもの成績を伸ばすための手段ですが、通ったから成績が伸びるという単純なものではありません。
子どもとの相性が必ずあります。
今回紹介した事例は、私が塾講師として指導してきた中で、成績が伸びない子どもの典型的な事例です。
塾・予備校に子どもを通わせる前に、一度、これらに該当しないか?
もしくは、それを変えていける環境が塾・予備校、そして家庭にあるか?
を確認してみましょう。