タクシーの席順・エレベーターの立ち位置など、日常のさまざまな場面でマナーがあります。
同様に、法事の後のお食事の場『お斎』にも席順マナーがあります。
しかし、お斎は頻繁に行うものではないため、誰がどの席に座るべきか?不安になる方が多いと思います。
本記事では、法事の後のお食事の場『お斎』における席順マナーについて、私の実体験をもとに解説します。
なお、『お斎の席順はこう』と一般的に言われているものがあります。
しかし、いざ現実の場面に立ち会うと、思い通りにいかないことが実は多いです。
- 一般的に言われているお斎の席順マナー
- 現場で起こる席順問題の実態と対処法
- その他、実体験からのアドバイス
の3点を実体験をもとに紹介するので、是非参考にしてください。
お斎の上座と下座
具体的な席順の前に、法事後のお食事の場『お斎』における上座と下座を簡単に説明します。
これは、この後説明する席順を考える上で一番重要なキーワードです。
お斎の上座
- 出入り口から最も遠い
- 絵画などが飾ってある場所
- 遺影を置く場所に近い
お斎の下座
- 最も出入り口に近い席
お斎で使う料亭によって部屋の形は様々です。
そのため、上のようにざっくりと上座と下座のイメージを持っておけば、それで十分です。
上座は、基本的に部屋の奥の席です。
法事に使われる料亭では、故人の遺影を置く場所は上座側、つまり出入り口から最も離れた場所にあります。
そちらの方が上座で、その逆方向が下座と思っておきましょう。
お斎の席順マナー
まずは一般的に言われている『お斎の席順マナー』を簡単に整理していきます。
私自身が施主を務めたときにも意識したものです。
後で説明しますが、遺族側でなければ極端に意識するものではなく、施主・遺族が特に意識すべきマナーです。
基本的なお斎の席順
- 遺族が下座(出入口に最も近い席)
※施主は状況による - 上座側に親族(比較的自由)
重要なことは遺族が下座に座るということで、それ以外の細かい席順はあまり気にしなくて良いです。
後で説明しますが、住職が参加するかで施主の席順が変わるくらいです。
それを除いては、基本的に遺族が出入り口側に座り、参列者の方は上座側へと考えて問題ありません。
では何故、このようにざっくりと考えるのか?
それは、参列者の方同士で上座の席の譲り合いが発生するからです。
遺族が最も下座に座るのはわかりやすいです。
しかし、参列者の方の立場になると、遠慮の気持ちから自ら率先して上座の席に座ろうとはしません。
そのため、お店の部屋に入っても、しばらくの間は参列者の方同士で席の譲り合いが起こります。
そこで、施主自らが参列者の方に『どうぞ奥の方からお座りください』と着席を促すことで徐々に席が埋まっていきます。
施主が着席を促すと、参列者同士でお互いに話しやすい人同士が集まり、徐々に座っていきます。
このように、上座の席は参列者の方が遠慮しあうので、厳密に決めるよりも、さっさと座ってもらうよう施主が誘導することが重要です。
ご住職が参加する場合
- ご住職が上座
- 施主もご住職の向かい or 隣に座る
ご住職が参加される場合は、ご住職が最も上座に座られます。
このとき、ご住職の話し相手になれるよう、施主はご住職の近くの席に座ります。
なお、遺族は下座のままです。
話し相手で苦労しないよう、ご住職のお相手をすることが施主の勤めになります。
ご住職が参加しない場合
- 施主は遺族と同じく下座
ご住職が参加しない場合は、施主も下座で良いです。
上座という意見もありますが、お食事の場ではお互いに話しやすい関係同士で席に座ります。
そこで中途半端に施主が上座に座ると、周りが変に気を遣ってしまいます。
そして何より、
- 施主は参列者の方に挨拶とお礼を述べるためにお酌して回る
- 足りなくなった飲み物の注文をお店にする
といった仕事もあるため、下座に座るのが適当です。
お斎の間は、施主はゆっくりと座って食事を取る時間はありませんので、上座に座る必要はほぼありません。
アドバイス
- 部屋に入ったら、施主はあるべき席に荷物を置く
施主はやることが多いので、落ち着いて行動することが大事です。
そのうちの1つが、故人の遺影を置くです。
遺影を置く場所は上座側にあります。
そのため、部屋に着いた後、遺影を置くために上座側に移動し、下手に荷物を上座側に置くと、そこに参列者の方が座れません。
非常に些細な話ですが、私は一度やってしまいました。
そのため、施主はお斎の部屋についたら、まず自分の座るべき場所に自分の荷物を置きましょう。
わかっていても、ドタバタする中ではやってしまいがちなので、意識しておいて損はありません。
まとめ
- 遺族は下座の席に座る
- 親族は上座側へ誘導し、施主は『どうぞ奥の方からお座りください』と促す
- ご住職は上座に座る
- 施主はご住職がいる場合は近くに、いない場合は下座に座る
- 施主は部屋に着いたら、あるべき席に自分の荷物を置くことを最初にやる
親族が集まるお斎の場では、なるべく失礼のないように気をつけたいです。
この気持ちは遺族のみならず、親族の方も共通して同じ気持ちを抱いています。
この中でも、注意すべきは遺族と施主の座る場所です。
それだけ気をつければ、後はお斎を和やかな場にすることだけ考えれば問題ありません。
この点を強く意識して、和やかなお斎の場を作り上げましょう。
なお、お斎に関して次の記事も紹介していますので、こちらも是非参考にしてください。