受験の必須アイテム『過去問』
試験勉強で過去問を1度も解かない人はいないでしょう。
過去問には、実際の試験で出題された問題が収録されているため、合格を目指すうえで非常に有効ですが、万能な問題集ではありません。
間違ったやり方では、過去問を何回解いても点数は伸びず、ただただ時間を浪費する結末を迎えます。
本記事の対象者
- 過去問を何回やっても点数が伸びない人
- 過去問で間違えたところしか復習していない人
- 過去問の復習のやり方がわからない人
- 過去問を効果的に使いたい人
本記事では、塾講師として大学受験指導をしてきた経験にもとづき『過去問の正しい復習のやり方』を紹介。
過去問の使い方は、大学受験であろうが資格試験であろうが変わりません。
過去問を効果的に使いたい方は、本記事を参考に新たな取り組みができないか是非検討してください。
過去問の間違った復習のやり方・勉強法
まず、よく見られる『過去問の間違った復習のやり方』を、その理由と合わせて紹介します。
自分がこんな過去問の使い方をしていないかチェックしてみましょう。
過去問をむやみに解きまくる
単に過去問を解き続ければ点数が上がっていく。
こう思っている人は意外に多いです。
確かに、過去問で本番想定の演習をしていれば、徐々に試験に慣れていき、点数が上がるように思われます。
しかし、これは完全に非効率な勉強法と言えるでしょう。
それは『各分野での見落としが発生しやすいから』です。
試験は、各分野を代表する問題を、幅広い試験範囲から少しずつ出題される形式で作られています。
要は、Aという分野から3問、Bという分野から3問、・・・といった具合です。
限られた試験時間の中で、広い試験範囲の実力を確認するためには当然のことでしょう。
このため、十分な実力がなければ、あるときは良くできた分野も、別の機会にはまったく解けない、といったように過去問を解くたびに出来栄えが大きくばらつきます。
これでは、
- 合格に向けて何が不足しているのか?
※原因 - 合格に向けて何をすべきか?
※対策
がわからなくなり、何回過去問をやっても点数が伸びずに悩むことになるでしょう。
これは、本来の過去問をやる目的を見失い、過去問を解くこと自体が目的となってしまっている典型例です。
最低限の実力がなければ、過去問を何回やっても点数は伸びません。
過去問で磨く能力は『試験での実戦力(時間の使い方など)』です。
まず、この点を見誤らないようにしましょう。
間違えた問題だけを復習する
これもよく見られる過去問の間違った復習のやり方です。
間違えた問題を復習することは大事です。
しかし、間違えた問題だけの復習では、その問題と似た問題が試験で出題されない限り、得点に結びつくことはないでしょう。
これでは、ただの確率勝負です。
間違えた問題を解けるようになること自体は、実はそこまで重要ではありません。
むしろ、間違えた問題をきっかけにして、自分の弱点分野を発見することの方ががとても重要です。
間違えた問題を点として捉えるのではなく、面として捉えるようにしましょう。
正しい過去問の復習のやり方・勉強法
では、過去問の正しい復習のやり方とは、どのようなものなのでしょうか?
一部の考え方は、先ほどの過去問の間違った使い方で説明しましたが、重要な点をその理由と合わせて整理していきましょう。
試験・問題への取り組み方の問題点を見つける
これは、問題を解くための知識ではなく、効率よく得点を取るための行動力を見直すことです。
試験時間を正しく使えたか?
まず、試験時間の使い方です。
試験には試験時間という制限があるので、のんびりとマイペースで解くわけにはいきません。
試験の前半で時間を使いすぎた結果、後半で残り時間が少なくなり焦った経験はありませんか?
- 単純にゆっくり解いていた
- わからない1問に時間を使いすぎた
これらが典型的な時間不足の原因です。
何も考えずにゆっくり解いていたのであれば『試験時間÷問題数』でざっくりと1問に使える時間を計算してみましょう。
その時間を意識していけば、試験時間に間に合う解答ペースを体に染み込ませることができるでしょう。
そして、わからない1問に時間を使いすぎることをやめましょう。
そもそも、試験に合格するために満点を取る必要はありません。
無駄に悩んだ1問と、時間不足で解けなかった1問の重みは同じです。
- 解ける問題にしっかりと時間を使い、得点を固める
- 残り時間を悩む問題に使う
これが一番効率的な時間の使い方です。
- 試験への挑み方・作戦は正しかったか?
- より効率的な時間の使い方ができなかったか?
これを過去問を通じて見直せば、同じ過ちを繰り返さずに済み、より良い点数が得られる可能性が飛躍的に上がるでしょう。
ケアレスミスはなかったか?
本来解けたであろう問題をケアレスミスで落としてしまうこともあるでしょう。
例えば、
- 問題文の読み間違え・読み飛ばし
- 計算問題での計算ミス
などが典型例でしょう。
実はこれらは、すぐに得点に結びつく『おいしいミス』です。
それは、時間を掛けて何かを新しく勉強しなくても、問題への取り組み方を修正するだけで解決できるからです。
そして、これらは、特定の問題だけでなく『あらゆる問題に影響する危険なミス』とも言えるでしょう。
それは、このミスを直さなければ、問題を解くたびにポコポコ失点してしまうからです。
人によっては『あぁ~、ケアレスミスでまた勿体ないことをした』と思うだけで済ませてしまうでしょう。
これは非常に勿体ないですし、大変危険です。
この類のミスをきっかけに、どう問題に取り組めば同じミスを繰り返さないかを徹底的に考えましょう。
- 問題文の重要部分に下線を引く
- 問題文を読み終わったら、もう一度全体を見直す
- 計算問題では暗算しない
色々な対策が考えられるはずです。
そして、普段の勉強からこの対策を徹底しましょう。
これだけで、解けるはずの問題を確実に取ることができるようになり、今までよりも高い点数が安定して取れるようになるでしょう。
点数が取れた分野・取れなかった分野を整理
過去問で間違えた問題を復習することは大事です。
しかし、それ以上に効果があるのが『分野ごとの得点度の確認』です。
そもそも、ある程度点数が取れている分野は、それ以上勉強することにあまり意味がありません。
受験勉強では、どうしても全分野を万遍なく勉強したくなりますが、これは完全に非効率です。
実は、ある程度点数が取れている分野を伸ばすことは、苦手分野の点数を上げることよりも難しく、時間が掛かります。
それは、既にわかっている・できることも勉強する可能性が高くなるからです。
極端な話、点数が取れた分野に割く勉強時間を、点数が取れなかった分野の勉強に全て使ってしまっても良いくらいです。
この『選択と集中』で限られた勉強時間を効率的に使えば、より効率的に点数を伸ばすことができるでしょう。
- どの分野が駄目だった?
- その分野を全体的に見渡し、怪しそうなテーマはどこか?
間違えた問題をきっかけに、広い視点から徐々に弱点テーマを絞ると、自分の課題がより明確になるでしょう。
これを意識して、過去問⇒弱点補強⇒過去問⇒弱点補強⇒・・・と繰り返せば、徐々に試験全体の得点が安定し、点数が底上げされます。
勉強時間は有限です。無限ではありません。
その限られた勉強時間を何に使うのか?
これを過去問を通じて明確にし、無駄な勉強を徹底的に避けましょう。
過去問に挑む前に考えたいこと
全分野を磨き上げてから過去問を使おうとすると、どうしても過去問に手を出しにくくなります。
確かに、まったく実力がない状態で過去問を解いても、手がまったく出ないという結果になるだけです。
しかし、それに怯えてばかりでは、過去問から学べることが学べず、経験不足な状態で本番を迎えることになってしまいます。
実は、全分野とは言わなくても、ある程度勉強が進んだのであれば、過去問を解いても十分に成果を得ることができます。
ただし、このとき、
- その過去問を通じて何を確認したいのか?
- それに対する過去問の使い方
をしっかり意識して過去問に取り組めることが大前提です。
この『過去問の正しい使い方 - 解き方編 -』を次の記事で紹介しているので、気になる方は是非参考にしてください。
過去問の正しい使い方 - 解き方編 -
まとめ
- 問題の取り組み方に問題がなかったか?
・時間の使い方
・ケアレスミスに傾向はないか? - 勉強すべき分野・しない分野はどこか?
・得点が低い分野を重点的に復習
いかがでしたでしょうか?
繰り返しですが、過去問は万能な問題集ではありません。
正しく使わないと、狙った成果を得ることはできません。
今の過去問の復習のやり方に改善できる点はないか、今一度ここで考えてみましょう。