生活の羅針盤

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【退職者談】友達からの起業の誘い。失敗・後悔しないために考えること【6つの思考】

【退職者談】友達からの起業の誘い。失敗・後悔しないために考えること【6つの思考】

働き方の自由度が高い今、気の知れた友達の誘いで起業する人が多いです。

しかし、人間関係のトラブルなどを理由に、起業に失敗した事例がネットで散見されます。

私も、大学時代の友達からの誘いで会社を起業しましたが、会社設立6年で退職しました

大きな人間関係のトラブルや、事業の不振が退職の原因ではありません。

正確には、会社を立ち上げてから時間が経つにつれ、徐々に人間関係が気まずくなったことはありましたが、それが退職の原因ではありません。

 

退職した1番の理由は、起業前に描いていた想像と、現実とのギャップに耐えられなくなったからです。

その結果、ストレスと疲労から、突発性難聴の重症を患い、右耳の聴力をほぼ失ってしまいました。

改めて今思うと、元々働いていた会社を辞めて起業したことへの後悔はありません。

これは、私が友達と起業することを決断したことによる結果なので、しっかりその事実は受け止めています。

ただし、友達と起業を決断する前にもっと考えるべきだったと思う点が何点かあります

 

本記事では『友達から起業を誘われたときに考えたい6つのポイント』を、体験談をもとに紹介します

これは、友達との起業を考えている過去の自分に話したい内容です。

今回紹介する内容は、他の記事ではあまり見られない内容でしょう。

 

  • 友達との起業を考えている方
  • 友達から起業を誘われている方

は、本記事を一度参考にしてみてください

 

 

 

 

友達から起業を誘われて失敗する原因

まず、友達からの起業の誘いで挫折する原因となる2つのポイントを紹介します

 

  • 新しい挑戦の魅力だけ考え、将来の不安要素に目を向けない
    ・起業後に待ち構える苦労を想像する
    ・起業を経験にスキルアップできることを考える
  • 友達感覚で仕事が進むと考えてしまう

 

この2つのポイントと私の体験談も踏まえて、友達との起業前に考えるべきポイントを説明していきます。

 

1:今の仕事と立場の満足度と将来像を考える

  • どのような仕事でも辛い場面は訪れる
  • 今の仕事・立場・将来を捨てる価値はありますか?

 

会社で働いていれば、多少なりとも不満を抱くのは当然です。

その不満は、友達と起業した後でも生じるのが当たり前です。

 

しかし、

  • 新しいことに挑戦する
  • 友達が仕事仲間になる

といった魅力が、今の仕事や立場への不満を加速させ、起業後に生まれるだろう不満に対して盲目的にさせます

 

今一度考えてみてください。

今の職を離れると、それまで築いてきた人間関係やスキルアップの機会を失います。

当然、復職、または同業種に戻ることも可能でしょう。

ただし、起業して時間が経つほど、その可能性は低くなります。

 

私の場合は、材料エンジニアから塾業界に転身しました。

このように、異業種の業界に転身するほど、元の業界に戻ることは難しくなります

多少の不満があるのは働いていれば当たり前で、今の立場の魅力を今以上に深く考えることが、失敗を避けるポイントになるでしょう。

 

私の体験談

もともと私は、半導体メーカーで有機材料の開発エンジニアとして従事していました。

同期の中では一番早く出世することができ、もともと化学系の職種でものづくりをしたいと考えていたので、業務環境としては決して悪いわけではありませんでした。

ただし、

  • 入社初年度が業績不振でボーナス0
  • 大企業特有の、多くの部門調整の面倒さ
  • 将来、地方へ移転の可能性大(神奈川 ⇒ 群馬)

といった、不満・不安が付きまとっていました。

しかし、今思うと、給与面でもストレス面でも、まったくブラック企業ではありませんでした。

手取りの給料も20代で30万以上で、有給は自由に取れる。

定時に帰ろうと思えば、帰れる日は十分にあり、同期とちょこちょこ飲みに行っていた。

人間とは都合が良いもので、いざそこから抜け出せるという抜け道を見つけると、今の環境がより悪く見えてきます

そして、一度その場を離れると、元の環境が恋しく思えてきます


心身が崩壊するブラック企業で我慢することは絶対に良くありません。

ただし、本当に許容できないレベルなのか?で、今の不満を計ることは大事です。

もし、継続して働けると思えるのであれば、一度、起業する判断は保留にした方が良いです。

 

2:起業したビジネスで磨かれるスキルを考える

  • 起業で得られるスキルは本当に欲しいものか?
  • 将来、そのスキルを活かして別業界に乗り出せるか?

 

私は、友達と起業する塾業界で働けるスキルがあると思っていました。

それは、大学生・大学院生時代に塾講師を5年間務めていたからです。

起業当初はなかなか上手くいかないことがありましたが、今までの経験で乗り切り、ある程度軌道に乗せることはできました。

 

しかし、アルバイトと違い、就職という点で重要なことは『起業した後に自分に残るスキルは何か?』です。

起業したこと自体は、1つの貴重な経験と言えるでしょう。

しかし、振り返って何のスキルが身に付いたのか?と自問すると『?』で終わってしまいます

確かに、学習塾における指導や対人対応などのスキルは磨かれたでしょう。

しかし、本当にそれが欲しいスキルだったのか?と言われると、そうではありません。

自分がやれることと、なりたいことのミスマッチが起こりました

 

仮に起業したとして、それに数年従事した後に何のスキルが得られて、それが次の道につながるか?を考えることは、失敗したときの保険になります。

自分の人生のレールが行き止まりに向かわないように、人生設計することは大事です

 

  • その起業を生涯の仕事としない前提で考える
  • その起業を通じて、何のスキルが身に付くのか?を考える
  • そのスキルが本当に欲しいものかを考える

 

この点を本気で考えないと、後悔しても後戻りできなくなります。

やっておいて損はないという甘い考えで進むと、必ず後悔します。

そして、この考えがあってこそ、仕事に対するモチベーションが高くなります。

友達と仕事をするという感情的な側面ではなく、自分を成長させるための仕事として捉えることが起業において重要でしょう

 

私の体験談

私が起業した塾業界で磨かれるスキルは『指導能力』や『生徒・親とのコミュニケーション能力』などです。

しかし、私が元々志望していたのは、前職のものづくりエンジニアで、毎年新しい素材などを開発することでした。

一方、学習塾として指導する学習内容は、基本的に毎年変わらないため、扱う題材が毎年同じで、かなり飽きていました。

これを将来、何十年も続けるのか?と思うと、完全にモチベーションは無くなりました。

これが自分がやれること(指導)と、本来やりたいこと(技術者)のミスマッチです。

 

3:起業する目的は?

  • 起業は友人の人助けではない
  • 自分がその業界の第一人者になりたいと思うか?

 

起業は、当然ながら自分事として捉えましょう。

私の場合は、高校数学・物理・化学の3科目を一人で指導できる人材として、友達から起業を誘われました。

私を誘った友達は、塾業界に自分で乗り出したいという考えを元々持っていたため、それに協力できるならばと思い、友達との起業を決断しました。

当然、現在の仕事に多少の不満を抱いていたのも理由の1つです。

 

この考え方の問題点は、自分を主役に思っていないことです。

確かに、起業する分野で戦えるスキルが自分にはありました。

しかし、その自分のスキルをビジネスとして発揮したかったか?と言われれば、そうではありません

既に述べたように、新しい環境に魅力を感じ、今の環境から逃げ出したかったのでしょう。

 

このような考え方だと、途中で挫折する可能性が高いでしょう

今までの仕事と同じく、必ずどこかしらで不満が生じるからです。

自分を主軸に置いて、その起業する業界でどうしたいのか?が明確でなければ、成長の機会を見失います。

先ほど述べたように、起業することで得られる自分のスキルを考え、それが明確に決まらない、もしくは自分が欲しいスキルでない場合は、起業は保留にしましょう

 

4:起業するビジネスで起こる嫌なことを想像し尽くす

  • 明るい未来だけを考えない
  • 起業先で起こるであろう嫌な出来事を考えつくす
  • それとトコトン向き合う価値があるかを考える

 

どんな仕事でもトラブルや嫌なことが起こります。

嫌なことが起こることは、起業しようがしまいが同じですが、起こる嫌な出来事は変わります

 

いざ起業しようと思うと、どうしても明るい未来ばかりを想像してしまいます。

そこで一度立ち止まり、起業するビジネスで起こりうる嫌なことを想像し尽してみましょう

そして、それと向き合うことに価値があるかを真剣に考えましょう

ネットで、起業する業界で働いている方の体験談などを参考にすれば、より具体的に想像できるでしょう。

 

起業直後は、最初の挑戦心から嫌なことがあっても立ち向かえ、それを続けることで、嫌なことへの対処法は磨かれるでしょう。

ただし、

  • 嫌なことを対処できること
  • 嫌なことを受け入れ続けられること

は、大きく違います

 

人によって生理的に受け付けられない嫌なことはありますよね?

これを軸に、起業しても挫折しないかを考えるだけで、後悔するリスクを大きく下げることができます

 

私の体験談

私は、高校生を対象とした学習塾を友達と起業しました。

起業前は、高校生なので最低限の素行はあるだろうと甘く見ていました。

しかし、いざ現実を見ると

  • ゴミを簡単に散らかす
  • 嘘を平気でつく
  • カンニングはする
  • などなど・・・

といった状況で、個人的に耐えられるものではありませんでした。

 

これが一過性のものであれば、十分に耐えられたでしょう。

しかし、学習塾では、生徒の卒業、そして新入生といった形で、毎年生徒の入れ替わりが起こります。

つまり、基本的な生活・学習姿勢の指導を毎年延々と繰り返さないといけないわけです。

これはかなり苦痛でした。

それと同じく、いわゆるモンスターペアレンツと言われる親御さんの対応もきつかったです。

これも生徒の入れ替わりと同じく、毎年一定確率で遭遇するので、逃げることはできません。

これもかなりきつかったです。

 

この苦痛は確かに対処はできるのですが、毎年毎年味わい続けることは耐えられませんでした。

これが苦痛を受け入れ続けることができるのか?ということです。

 

5:友達と結婚できるか想像する

普段の友達付き合いであれば、友達に嫌な思いを抱くことは少ないでしょう。

少なくとも、嫌な思いを簡単に感じる相手であれば、一緒に起業するなど考えませんもんね。

しかし、いざ友達と起業すると、結婚して同じ家に済むのと同じく、長時間同じ空間で過ごすことになります。

交際中は幸せだが、結婚した途端に仲が悪くなるカップルの話は比較的多いですよね。

これと同じで、今まで以上に友達のさまざまな言動・行動を目の当たりにすることになります。

 

もし、その友達の言動や行動などに不快さを覚えるようなものがあれば要注意です。

普段の友達付き合いであれば、頻繁に目にするわけではないので、そこまで引きずりませんが、起業すると、やたらと目につくようになります。

そして不満を抱いているときほど、些細な言動・行動に腹を立てるようになります。

しかも、友達関係だからこそ、遠慮することもあります。

 

これらが積もり積もると、致命的とは言いませんが、今までの友達関係のような付き合いの継続が厳しくなります

なるべく一定の距離を置きたいと思うようになり、お互いを徐々に避けるようになるでしょう。

これでは、友達と起業したことに意味がなくなります。

 

今回は結婚で例えましたが、このような事態にならないか?を事前に考えておきましょう。

起業で失敗するというよりも、起業したことで友達関係が壊れないようにするためです

 

私の体験談

私を含めて3人の友達と起業しましたが、起業後にそれぞれが大事にしたいことが意外にズレていることに気付き始めました。

そのため、友達関係というのもあり、発言は遠慮しながらも、3人が3人ともお互いを意識しながら発言するようになり、結果的に全員がバラバラに散ることになりました。

先ほどの嫌なことを含めて、その方向性がお互いで合っているかを考えると、私のような事態は避けられたでしょう。

 

6:就業条件は明確に決めておく

  • 起業当初は、がむしゃらでも構わない
  • ただし、安定軌道後の就業条件は最初に決めるべき

 

人間の生活は仕事で100%埋まっているわけではありません。

当然、休日や勤務時間外で、仕事以外の時間が必要で、それはとても大事なものです。

 

起業直後は色々と忙しいので、休み返上で働くことは平気で起こります。

少なくとも、肝心の業務自体が少ないので、何とかやり切れると思います。

しかし、安定軌道に乗った後の、

  • 勤務体制(勤務時間・休日日数・長期連休)
  • 給料

については、事前に明確に決めるべきでしょう。

後回しで、軌道に乗ってから考えるべきではありません。

 

なお、設定した就業条件に向けて、徐々に修正していく方法は否定しません。

ただし、最低限のゴールは明確にすべきでしょう。

 

人によって希望するライフスタイルは異なります。

最初は頑張り時だと思って働いていても、いつまで経っても自分に合う就業条件にならなかったら、必ず後悔するでしょう。

必ず『こんな生活を望んではいなかった』と後悔することでしょう。

それを避けるためにも、大まかに重要な就業条件は決めるべきです。

 

私の体験談

学習塾を立ち上げ直後は、生徒もいないので、休みなく毎日仕事でした。

その後、生徒がある程度集まり、学校のリズムに合わせ徐々に勤務シフトを決めていきました。

つまり、就業条件の後決めです。

 

その結果、社員が少ない中で、今の現状に合うシフトを作ったため、無理くり休みを作ったような形になりました。

例えば、私の最初の休日シフトは、土曜日の夕方~月曜の夕方までが休みという、かなり中途半端なものでした。

そして学校が休みの日は強制的に長時間労働になり、夏休みなどの長期休暇は朝早くから、夜遅くまでの働きっぱなしが続くという状況で、肉体的に疲弊しました。

学習塾ということを考えれば当たり前ですが、事前に決めておけば判断は変わったかもしれません。

さらに先ほど紹介した『私が生理的に嫌なもの』を長時間味わい続けることもあり、肉体的にも精神的にも疲弊し、最終的に辞める選択を選ぶことになりました。

 

 

まとめ

  • 今の仕事を続けた場合の未来像をしっかり考える
  • 起業したときに得られる経験・スキルが自分の望むものか考える
  • 起業する目的を明確に持つ
  • 起業する業種で起こるトラブル・嫌なことへの抵抗感を考える
  • 友達と結婚できるか想像してみる
  • 就業条件は最初に明確にする

 

友達との起業は、それ自体に魅力があるため、本当にその仕事をする価値があるのか?について盲目的になりがちです。

起業を判断するときに、自分が過ごす生活や仕事環境を具体的に想像し、自分の人生において価値があるかを見極めないと、必ず後悔します。

やって初めて気づくことがあるのは当然ですが、事前に色々なケースを想定することに損はありません。

自分の人生の大事な時間を失います。

その時間をかける価値をしっかり見出して決断を下すようにしましょう。